出産・育児を経て気がついた、何気ない日常の写真がくれるもの

子どもが生まれると、気がつけばママがフォトグラファー。というのはよく聞く話。

写真を見返すと家族みんなで写っている写真が少ないということはありませんか?

私が1年間の育児休業をもらい、子育てに向き合い気がついたこと。それは、もっと自分や家族が子どもと一緒に写っている写真を撮っておけばよかった、ということでした。

そう思ったのは、1枚の何気ない育児中の写真に救われたから。

今回伝えたいのは、子どもが産まれたら「家族みんながフォトグラファーになって欲しい」ということ。そして、ぜひ残してほしい写真を知ってもらえたら嬉しいです。

 

赤ちゃんが生まれた家族に、伝えたいこと

子ども スタジオ写真

2019年8月に第一子である男の子を出産しました。

それまでクッポグラフィーのウェディングフォトプランナーをしていたのですが、しっかり1年間の育児休業をもらい、毎日息子と穏やかで幸せな日々を過ごしていました。

赤ちゃんの成長スピードには驚かされることばかり。昨日まで見ているだけだったおもちゃを握れるようになり、声を出して笑うようになり、全身の力をふり絞って寝返りし、ハイハイし、今では靴を履いて好きなところへ歩けるようになりました。

どの瞬間も「絶対に忘れたくない」とその時は思っているのですが、不思議なもので振り返ってみると、1年間どうやって過ごしてきたか思い出せないのです。

そして自分の携帯のアルバムを開いてみても、息子と私が一緒に写っている写真がほとんどないことに驚きました。残っているのは自撮りか、一生懸命おっぱいを飲む息子を上から撮ったものばかり(笑)

もっと写真を残しておけばよかった・・・もっと家族にも「写真を撮ってほしい」とお願いすればよかった・・・と、少し後悔してしまいました。

でも、普段から写真をあまり撮らない人にとって写真を撮ることはちょっとハードルが高いことですよね。何より、仕事や家事育児に慌ただしいく過ぎていく毎日の中で、「目の前の何気ない瞬間を撮る」というのは、どうしても優先順位が下がってしまうのもわかります。

それでも、家族みんながフォトグラファーになり、目の前にある光景や、何気ない瞬間を残してほしい。「おしゃれ」「きれい」は一度忘れ、とりあえず撮ってみてほしいのです。

(おうちで簡単に、おしゃれできれいな写真を撮りたい方はこちら


新米ママの私に自信をくれた、たった1枚の写真

出産して10日経った頃、私の母がスマホで撮影してくれた大切な写真があります。

出産・育児

授乳のあと、げっぷを出すために背中をさすっています。母が「息子の手が私の肩できれいに開いてるのがかわいい」と言いながら撮ってくれました。

産後間もないため、私の身体はまだまだ大きく二の腕もがっちり。すっぴんで眉毛もなければ、適当に髪をまとめておでこ全開・・・できれば写真に写りたくない姿です。(笑)

それでも私の腕に収まっている息子の写真は、初めてづくしで、嬉しさよりも不安ばかりだった日々を思い出させてくれる。なんとか今日まで息子を育ててこれた、という自信を持たせてくれる大切な1枚です。

何気ない瞬間ですが、この頃の息子と私が一緒に写っている写真は、この1枚だけ。でも、このたった1枚の写真から、大変だったあの頃の情景をはっきりと思い出すことができるんです。

これから胃が発達していく赤ちゃんにはよくあることですが、息子は母乳を飲んだらよく吐き戻してしまう子でした。授乳の後にはげっぷをさせ、クッションを使って上体を起こしたまま寝かせるのですが、それでも出てしまう日が続きました。

「本人が元気なら全然問題ないですよ」と、助産師さんや小児科の先生にも聞いていたのですが、それでも心配は止まりません。自分のしていることが正解なのか、少しでも安心したくて何度も何度もWebや育児アプリなどで検索する毎日。それがいつの間にかげっぷをさせることも、クッションを使うこともなくなりました。

あんなに不安な日々を送っていたのに、母が撮ってくれたこの写真を見るまで、すっかり忘れていたことに驚きです。

今は離乳食を食べない、服を着ない、おっぱいをやめない・・・など、新たな悩みはあります。でも、きっとこれもいつの間にか終わり、悩んでいたことすら忘れる日がくるのかなと思うのです。

また、仕事に家事に育児と、時間に追われながら生活していると、できなかったことばかりに目が行き、自分を責めてしまいがち。たまってしまった家事のこと、息子に怒ってしまったこと、夫に優しくできなかったこと。

でも、あの時母が撮ってくれたたった1枚の写真のおかげで「ここまで大きくなるまで育児頑張ってきたね、私!」と素直に自分を褒めようと思えるようになりました。

そして世の中のママ、パパにもそうであってほしい。1枚でもいいから前向きなれる写真を持っていてほしいと思っています。

 

写真を残しておきたいと思った瞬間

当たり前のようにある赤ちゃんとの生活。大変だけど、過ぎ去ってからそれが永遠ではなかったことに気がつくんですよね。あの時は早く大きくなあれ、と思っていたのに。

生後3ヶ月の頃、クッポグラフィー横浜港北スタジオに遊びにいったことがありました。その時に店長のこまちが撮ってくれた写真とともに「残してほしい写真」を知ってもらえたら、と思います。

赤ちゃんと家族のスタジオ写真

まずは抱っこ。

自分が子どもを抱いている姿を見るだけで、まだ新生児に近いふわふわの感触を思い出します。寝てばかりで後頭部の毛が薄かったこと、またちゃんと生えてくれるのだろうかと心配していたことも、写真を見るまで忘れていました。

赤ちゃんとママ

何気なく私に抱かれている息子の表情も、写真を見て初めて知りました。こんなにも全身で私を頼ってくれている。なんて愛おしいのだろうと、心の奥がキューっとなりました。

赤ちゃんとママ

抱っこ紐。

赤ちゃんとの生活には欠かせないアイテムです。だからこそ残してほしい。抱っこ紐の中にいる息子のサイズや重みで、日々の成長を実感していたんですよね。 

写真を撮ってもらったこの頃の息子は、まだ首が座っていない時期だったので、抱っこ紐のクッション部分で頭を支えていました。不安定だった息子の首や、それを気にかけながら買い物をしていた日々も、今となっては懐かしい思い出です。

赤ちゃん スタジオ写真
赤ちゃんのスタジオ写真
赤ちゃんのスタジオ写真

オムツ替え。

この時はクッポグラフィーのスタッフであり、先輩ママたちに見守られながらのオムツ替え。いまでは逃げる息子を必死に追いかけながらオムツ替えをしているので、こんな瞬間も貴重な写真です。どんどんサイズの変わるオムツ、体調の良し悪し、肉付きの変化。

1日に何度もするオムツ替えだって、そこには色んなドラマがあるんですよね。

赤ちゃんのスタジオ写真

そして最も愛おしくて忘れたくない瞬間、授乳。

昼夜問わずの授乳で寝不足になったり、歯が生えて痛い思いもしたり。でも、安心しきった顔で一生懸命飲んでくれる姿は、母親になれた喜びを感じる瞬間でもあります。

授乳しながらおっぱいを飲む顔は自分で何百枚と撮りましたが、こうやって客観的に見ることがないので、とても大切な1枚となっています。

それぞれの月齢で息子がどんな格好でどんな風に飲んでいたのか、セルフタイマーを使ってでも残しておけばよかったなと思いました。

(たくさん写真を残してくれたこまち、ありがとう!本当に感謝です!)

 

仕事場ではフォトグラファーに囲まれ、いつでも写真を撮ってもらえる環境にいた私。当たり前ですが、家では誰かが気づいて意識的に撮ろうとしないと、家族みんなが写っている写真や何気ない日常の写真は全く増えない・・・ということに、出産・育児を経て初めて気がつきました。

そして、つい撮り忘れてしまう日常の写真にこそ、後から見返す度にいろんな想いが溢れてくるんですよね。ぜひ1日1枚から、目の前にあるお子さんとの日常を家族みんなで撮影してみてくださいね。

Yuko Onitsuka

フォトプランナー 。人を喜ばせるのが好きだったことから、ウェディングフォト会社に就職し、社会人キャリアをスタートする。その後、海外で英語を学びたいという夢を叶えるため渡豪。帰国後は写真と関係のない仕事をついたが、クッポグラフィーと出会い「こんな写真をもっとたくさんの人に届けたい!」と思い転職。現在は一児の母となり、今までとはまた違った目線で新郎新婦やご家族と接する毎日を送っている。

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