写真が支えになった原体験を信じて マーケターが届ける この先を豊かにする撮影体験
「家族写真がある人生とそうでない人生を比べたとき、心の豊かさの度合いが違うとさえ思います。」
まっすぐな目でそう語る、マーケティングセクション プロダクトマーケティンググループ グループマネジャーの井口恵里子。
2025年9月にオープンした「高輪スタジオ」の立ち上げを支えた一人でもある井口が感じた、クッポグラフィーの撮影体験の価値とは。ときには困難と向き合いながらも情熱を注いできたエピソードを交えながらお届けします。
井口恵里子(いぐち えりこ)
マーケティングセクション プロダクトマーケティンググループ グループマネジャー。
大学卒業後、広告代理店に入社し、営業職として勤務。その後10年に渡り、幅広い分野のプロダクトを世に送り出すため、広告営業から企画までを担当してきた。2023年、娘の出産を機に自分の人生を見つめなおすことに。2024年 クッポグラフィー入社。2025年9月にオープンした「高輪スタジオ」の立ち上げでは、対外交渉からイベント企画まで、中心となって行った。
娘が生まれて気づいた “本来の自分が大切にしていること”
ーークッポグラフィーの採用に応募したのはどのようなタイミングだったのでしょうか。
井口:ちょうど娘が生まれて育休中の頃に応募しました。前職は広告代理店の営業を担当していましたが、寝食の時間を惜しむくらい仕事に没頭していて。新卒からずっと営業職として働き、好きな仕事でしたが、早朝から深夜までパソコンにしがみついて働くような日もありました。夫が食事を運んできてくれて、手を止めて食べるように言われることもあって、人生の時間のほとんどを仕事に費やしているような状況でした。
ーー忙しかったんですね。具体的にはどのようなお仕事をしていたのですか?
井口:食品、自動車、装飾品など、多岐に渡る商品を世に広めるため、クライアントと協働で消費者の方々にどうやったら魅力が伝わるのかを、あの手この手で企画していました。何社も並行して受け持つようなことも…。
でも、出産してお休みをいただいている間、ふと思ったんですよね。本来の自分は、こうしてゆっくりと日々の何気ない時間を大切にするタイプだったなと。もともと“仕事人間”だったわけではなく、いつの間にか仕事の比重が大きくなっていただけでした。育休中は、娘とふたりで過ごす穏やかな時間が愛おしくて。家族で過ごす日々も大切にしていきたいと思うようになりました。
ーーそれで、転職を考えたのですね。
井口:友人のお姉さんがクッポグラフィーで働いていて、とても働きやすい会社だと聞いて。当時の私にとって一番大切にしたいと思っていたのが「仕事と子育ての両立」だったので応募しました。
そして面接で、採用担当の方からクッポグラフィーの話を聞いてびっくりしたんです。
ーーどんなお話だったんですか。
井口:健康的に働ける環境を維持しながらも、良い写真を生み出していくことへの情熱は、決して妥協しないものだったんです。自分たちがお客さまに届けている写真に誇りと自信を持っていることが、嘘偽りなく感じられました。スタッフの皆さんがお客さまの写真を見ながら、撮影中に感動したことを共有しあったり、お客さまが帰られた後に、お子さまの成長を我がことのように喜んで話をしているエピソードを聞きました。ミッションやビジョンがスタッフみんなに浸透しているからこそ、そういった会話が生まれるのかもしれない。そんな世界があるんだと胸が熱くなったんです。
「すべての人が心の支えになる写真を持っている世の中をつくる」をミッションに、その人の感情をも写し出す、ありのままの姿を写真で届けている。
ーー面接での話が心に響いたんですね。
井口:面接を受けるまでは、自分にとっての「心の支えになる写真」というものを考えたことはありませんでした。ですが、お話を聞きながら、ぱっと1枚の写真が思い浮かんだんです。
祖父母の生前、最後に撮った家族の集合写真でした。実家は岡山の田舎にありますが、ゴールデンウィークに帰省した親戚たちが我が家に集まって、みんなでバーベキューをした日に撮ったもので。今も実家の床の間に飾ってあります。
祖父母と一緒に暮らしていた日々。時には厳しく生きていく上で必要なことをたくさん教えてくれた祖母。「お前ならできる」といつも応援してくれた祖父。20代の頃、まだ元気だった祖父に、大学や就職先、結婚相手のこと、親には言えないようなことまで相談していました。ふたりのことを考えるときは、あのときの写真が思い浮かぶんですよね。悩みがあったり、悲しい気持ちになったりしたときに、その写真に残された家族の光景が背中を押してくれます。
ーー「心の支えになる写真」を自分自身も持っていることに気がついたんですね。
井口:そうなんです。写真が支えになることを体感している自分は、この会社のみんなと同じ未来を描けると思いました。
クッポグラフィーの価値を体感した マタニティフェア
ーーマーケティングチームは、クッポグラフィーの写真や撮影体験の価値を世の中に広めていく立場にあると思いますが、入社後、井口さん自身は、その価値への理解をどのように深めていったのでしょうか。
井口:入社してすぐ、2か月後にリリース予定のマタニティフェアを担当したので、短時間でクッポグラフィーの価値を自分の中に落とし込んでいく必要がありました。
ーー入社後すぐにプロジェクトを任されたんですね。
井口:おかげさまで最初から気合が入りました。クッポグラフィーの写真とは何なのか。マタニティの撮影は他の撮影とどう違うのか。フォトグラファーやヘアメイクアーティスト、各セクションのマネジャーなどに、ヒアリングをしていくところから始まりました。
当時、マタニティの撮影プランはありましたが、確固たるコンセプトといったものがなく…。スタッフの根底にあるクッポグラフィーのミッション・ビジョンをもとにマタニティフォトを撮影していた状況にありました。みんなが同じ方向を目指していけるように、コンセプトを言語化することが最初のステップでした。
コンセプトは「その時を待つ、ふたりの時間。」新たな命の存在を感じながら、期待と不安が入り混じる日々は、ふたりで過ごす残り少ない時間でもある。“ふたり”のこれまでとこれからに焦点をあてた、お互いの存在を確認しあえる撮影体験。※現在フェアは終了。
ーーコンセプト「その時を待つ、ふたりの時間。」はどのように決めたのでしょうか。
井口:ヒントとなったのは、撮影中にフォトグラファーがお客さまとする会話でした。ふたりの出会いや、妊娠期間中に過ごしたふたりの時間、生まれてくるお子さまはお互いのどういった部分に似てほしいのか。“ふたり”にフォーカスした質問が多かったんです。似てほしい部分、イコールお互いの好きな部分になりますよね。
ーー確かにそうですね。
井口:自分自身の妊娠期間を振り返ると、夫とふたりで過ごす最後の時間という感覚はありませんでした。出産や産後の生活など、先々のことばかり考えていたように思います。もう少し、夫とふたりの時間を大切にすればよかったなという思いが、フォトグラファーの話を聞きながら込み上げてきて。マタニティフォトのお客さまは、妊娠8か月頃に来てくださる方が多いのですが、残されたふたりの時間、今のふたりの日々を大切にしてほしいという思いを込めました。私が気づかなかった、かけがえのない時間を届けたいと。
マタニティフェアでは、パートナーに向けて手紙を書く時間も。特典にストーリーブックも添えて、1歳のバースデーで再来店いただいたときに、手紙とストーリーブックを一緒に見返す企画。
ーークッポグラフィーでは月に1度、社員ミーティングを行っていて、新しい企画もそこでスタッフに発表しているそうですね。井口さんにとって初めての発表となったマタニティフェアはいかがでしたか?
井口:ものすごく怖かったのを覚えてますね。クッポグラフィーのみんなは当たり前のようにクッポグラフィーが好きで、それぞれにクッポグラフィーの写真ってこうだよねといった思い入れもあります。スタッフみんなからヒアリングをする中で、一番感じたところでした。一方で、入社間もない私がクッポグラフィーの写真を語っていいのか、マタニティフェアを受け入れてもらえるのか不安だったので、まずは自分の情熱を伝えようと準備をしていきました。
ーー情熱と思いのたけをぶつけたんですね。
井口:まだスタッフみんなが知らないであろうクッポグラフィーの価値を探してたどり着いたのが、Googleレビューのお客さまからのコメントでした。Googleレビューの評価がびっくりするほど高いことに、入社すぐに気づいて。何百件と良いコメントをいただいていることにも驚いたんです。これは当たり前のことではなく、皆さんの努力があってのことだと伝えたくて、100件以上コメントをさかのぼり紹介しました。皆さんが進んでいる道は間違いない。マタニティフェアでもきっとその価値を届けられるはずだと、プレゼンで話しました。
マタニティフェアでは、パートナーに向けて手紙を書く時間も。特典にストーリーブックも添えて、1歳のバースデーで再来店いただいたときに、手紙とストーリーブックを一緒に見返す企画。
井口:実はマタニティフォトで初めてクッポグラフィーに来てくださったお客さまが、その後、節目ごとに撮影をしに来てくださるようになって。
ーーお客さまとの再会の機会につながったのですね。
井口:マタニティフェアの初日に来てくださったご夫婦でした。私も撮影に同席させていただいたのですが、女性のソロ撮影をしている様子をパートナーの方がムービーで記録するような、とても仲良しのご夫婦で。
妊娠9か月頃だったこともあり不安もあったのでしょう。私にも「出産大変でしたか?」など話しかけてくださって。今になって自分が後悔している「ハーフバースデーの写真を撮っておけばよかった」という思いも伝えました。6か月と1歳の間は一気に成長するので、あのふわふわのときの娘も撮っておけばよかったと。
井口:そのお客さまが、なんと出産後、ハーフバースデーの撮影で戻ってきてくださったんです。
ーー思いが届いたんですね。
井口:しかも、私のことも訪ねてくださって。ちょうど出張中だったため、残念ながらお会いすることができなかったのですが、1歳の撮影で再会することができました。
ーー素敵…。
井口:そのときに、「ハーフバースデーを撮影してよかった」と言ってくださって。嬉しかったですね。
井口:マタニティフェアのときに書いていただいた、パートナーに宛てたお手紙とストーリーブックを、撮影のときに読み返したときのことも心に残っています。
一人で読んだときは、割と冷静に受け止めたそうですが、撮影中にフォトグラファーがふたりの間に入って手紙について質問を重ね、お客さまが思いを言葉にされる中で、「今日のこの時間のおかげで手紙の価値を感じられた」と言ってくれて。スタジオで読むことができてよかったと。
お客さまと私たちが再会することで生まれる撮影体験の価値を、肌で感じることができました。マタニティフェアのときと同じフォトグラファーではなかったのですが、人が違ってもあの頃と同じような体験ができたと言ってくれたことも嬉しくて。自分が届けたかった願いをクッポグラフィーのみんなとともに届けることができて、思わず涙がでました。
新たな挑戦の場 高輪スタジオオープンを支えた一人
ーー井口さんは、2025年9月にオープンした、高輪スタジオの立ち上げも担当したそうですね。
井口:担当のお話をいただいたのは、入社して半年の頃でした。
ーー半年で新スタジオの立ち上げですか!
井口:面接で、入社後にやってみたいことを聞かれて、新店舗の立ち上げをやりたいと話したのですが、まさかこんなに早く実現するとは。
商業施設「ニュウマン高輪」の中に入るので、これまでの路面店とは異なり、クッポグラフィーにとって新たな挑戦でした。店舗設計には色々と制限がある中で進める必要がありましたし、高輪スタジオの情報解禁日と予約スタートの兼ね合いは私たちだけで決めることができませんでした。いわば社運がかかっているプロジェクトだと、私は受け止めていました。
ーー井口さんは具体的にはどのような仕事をされたのでしょうか?
井口:私の役割は、開業まで滞りなく運ぶように、担当者をアサインして何をどのように進めていくかを担当者と話しながらディレクションをすることでした。
ーー全体の統括ですね。
井口:そうですね。例えば、お客さま向けのイベントは、クッポグラフィーのブランドへの理解とお客さまの視点を深く理解しているメンバーに担当してもらいました。お客さまの満足度を最優先に考えた体験となるように、イベント内容をゼロから考案してもらったおかげで、当日は涙を流すお客さまもいらっしゃいました。
ーー 自分一人では成し遂げられない成果になりましたね。
井口:本当に。チームでそれぞれが知恵を出し合ったからこそ成功したと思っています。
細かい部分までチェックを重ね、ニュウマン高輪への確認も多く、当時は原因不明の頭痛が続いていました(笑)。今思えば、「失敗してはならない」という毎日の緊張から頭痛がしていたのかもしれませんね。でも、とても楽しくやりがいがある仕事でした。
スタジオコンセプトは「人が主役の美術館」。井口は、高輪スタジオ立ち上げのプロジェクトをディレクションしながら、チーム全体で成功に導いた。井口なしではオープンできなかったと話すスタッフも。
オープン前後での対外交渉や、特別企画の提案・実施を、井口が中心となって進めた。写真は、開業前のゴールデンウィークに開催された、高輪ゲートウェイの街開きイベントに出店した様子。
ーーオープン前から携わるスタジオには、一段と思い入れがわきそうですね。
井口:思い入れはありますね。今も半分は高輪スタジオに所属している心持ちでいます。
高輪スタジオは、クッポグラフィーを知らなかった人に初めて知ってもらうきっかけになる場所だと思っていて。「こもれびら」というお子さま連れを対象としたフロアにあるのですが、興味津々でスタジオの小窓を覗いてくださったり、「何のお店ですか?」と話しかけてくださる方も。通りすがりのご家族とのコミュニケーションが生まれています。
撮影した写真のスライドショー上映は、外の通りからも見えるようになっている。道行く人たちが足を止めて見る機会も生まれ、まさに写真が美術館のアートのよう。
井口:このスタジオが、写真そのものに興味を持っていただくきっかけになってほしいなと思っていて。通りかかった方とお話をしたときに「子どもが小さいときは毎年家族写真を撮っていた」と話されていて、「今しか撮れない家族の形もありますよ」と、様々なプランを紹介させていただきました。どんな機会で撮影した写真でも、それがもしかしたらその方にとっての、心の支えになる写真になるかもしれないので。クッポグラフィーを選んでくださればもちろん嬉しいですが、たとえ選ばれなかったとしても、私たちが伝えようとしている写真の価値を感じてもらえるといいなと思っています。
10年後 「あの日の記憶」が写真でよみがえるように
ーーマーケティングチームの役割はどんなところにあるのでしょうか?
井口:今はスマホのカメラも高性能になって、誰しもが写真を撮れる時代です。わざわざ時間とお金を使って撮ってもらいたくなる写真とはどんなものなのか。第三者のプロに撮影してもらうことの価値、そしてクッポグラフィーを選んでもらう理由を伝えていく必要があります。
たとえば、独創的でフォトグラファーの視点から見て強い写真だったとしても、お客さまが求めている写真ではなかったりもします。ここが難しいところですが、マーケティングチームにできることは、常に消費者側の視点を持つことなのかなと。
ーー現場とは違う視点を持つということですね。
井口:そうですね。ブランドの価値を大切にしながら、求められる写真とはどんなものなのかという視点も加えて施策を考えています。とは言え、現場のスタッフのほうがお客さまと近い距離で接していて生の声を聞いているので、現場の声も大切にしています。写真やヘアメイクなどの他セクションの人たちと連携しながら施策を考えていけるところが、クッポグラフィーの魅力です。
週に一度、オンラインで顔を合わせて話す、マーケティングチームの定例ミーティング。遠方に住んでいるスタッフや子育て中で時間に制約があるスタッフなど、働き方は様々。在宅勤務を利用しながら、季節ごとに新しい施策を打ち出している。
ーーこの仕事の面白さはどんなところに感じますか?
井口:マーケティングチーム全員が、面白いことや新しいことをやりたいと思って日々向き合っているところが楽しいです。みんなが“最高”を求めて追求しているので、妥協しそうになると、社長の久保さんから「それでいいの?」と聞かれたりも。
ーー刺激的ですね。
井口:本当に。提案してみて良かったら、すぐにやってみようとなるスピード感もワクワクします。
ちょうど先ほど「ハーフバースデー」のプランを提案してきたところです。1歳の撮影ほど撮る人が少ない市場調査も踏まえて、どんなプランがお客さまの心に響くのか。実現できるように中身を固めていく予定です。
ーー井口さんは、1歳の娘さんとファミリーフォトを撮られたそうですね。自身は撮影体験をどのように感じましたか?
井口:絶対に泣かないと思っていたのに、スライドショーを見て大泣きしちゃいました。悔しいですね…(笑)。子どもを見ている自分ってこんな表情をしているんだと、これからの子育てに対しても前向きになれました。
スライドショーの最後の1枚が、私たち夫婦の2ショット写真だったんです。
ーーなんと…。
井口:堪えていた涙があふれました。家族の始まりは私たちふたりからだったなと気づかされて。夫がいなかったら娘は生まれませんでしたし、今の家族は存在しなかったなと1枚の写真を見ながら思いました。妊娠期間に残されたふたりの時間に思いを馳せることができませんでしたが、この先の夫との時間を大切にしていこうと思いました。
ーーかけがえのない時間になりましたね。
井口:クッポグラフィーでしか生まれることがない時間があると思います。そして、この日撮ってもらった写真を家族で囲みながら、そこでしか生まれない家族の会話があるんだろうなと想像します。
成長の記録を残すためと思って撮影した写真が、将来お子さまが親御さまから怒られた時に引っ張り出して心を落ち着かせることができるものとなるかもしれない。お子さまが思春期で口を利いてくれなくなったとき、親御さまが写真を見ることで寂しさが紛れるかもしれません。
家族写真がある人生とそうでない人生を比べたとき、心の豊かさの度合いが違うとさえ思います。だからこそ私は、世の中の一人でも多くの方に写真を届ける必要があると強く思っていて。1組でも多くのお客様に出会えるよう、毎日試行錯誤を重ねています。